――動画投稿自体はプロもアマチュアも関係ないですもんね。
鶯色:そう。それで二つ目は、『自分はこれが見たい』っていうのを出したことで、他の人たちが『こういうのが見たかった』とか『これいいね』とかって喜んでくれる様子が垣間見れてね。自分が投稿したことで世界が広がる人が居るっていうのがすっごい嬉しくて。あとは、こういう趣味をやってなかったら出会えない人ってホントにいっぱい居て、そういう人たちに会えるっていうのも「大盛り」をやってたからだと思うし、そうした出会いによってまた世界が広がったっていうのが嬉しい。
n@na:人のつながりって言ったら、私たち姉妹って全然性格違うんで、性格が違う人間が2人居ると、わりとどんな人が相手でもどっちかが対応できるっていうのがあって。だから色んな人と仲良くやれてるんだなってところもあると思います。
鶯色:感じ方や考え方、他人とどういう風に絡むかっていう部分も同じようでわりと違うからね。
――長年ニコニコ動画を視聴して投稿もされているお二人ですが、これまでに見た中で特に印象に残っている動画やニコニコのイベントなどはありますか?
n@na:まず、いちばん印象に残ったニコニコのライブは「ランブライブ2」(2014年)。
鶯色:それ!
n@na:「ランブライブ2」を超えるライブは今までなかった。
鶯色:うん。
n@na:主催が鋼兵さんで、タイ焼き屋さん、recogさん、赤ティンさん、詩人さんの5人。で、ライブが発表された時にタイ焼き屋さんが「こんなの大盛り合唱じゃん」ってつぶやきをしてたのを見て、それまでライブ遠征なんてしたことなかったけど『よし、いこう!』ってなって初めて遠征したっていうね。
鶯色:東京まで行ってね。
n@na:内容的にはソロで歌って、コラボやって、ゲーム企画の山手線ゲームをして、最後に大合唱して、ゲストの人も出てきて、みたいな感じ。それを見て『うわ~なんて素晴らしいライブなんだ!』って。それがずっと思い出にあったから、「大盛りライブ」の構成は完全にそれの感じです。
――では、初投稿作「リンちゃんなう!」(2012年2月)投稿の経緯を教えてください。
鶯色:私サイドから見たら、私は元々10年前から歌い手好きだったんだけど、姉がハマってるっていうのをあまり知らなくて。まあハマった時期の違いもあったんで。私は元々合唱シリーズも好きで『つくりたいなー』って思ってたんだけど、ある日姉が描いてる絵を見たら「千本桜」の『こういう人選のこういう合唱が見たいな』っていう絵を描いてて、『えっ!そういうの好きなの!?』って問い詰めたら……
n@na:『んー、なんか見たいけどつくれないよね……』って。で、こういうの(千本桜合唱)検索したらあると思うよって言われて、探したらそういうのがあって、『うん!これで満足かな』って思ってた。
鶯色:たぶんその時だったと思うんだけど、『もしこういう音声作ったら動画作るよ』ってことを言ってくれてたから、じゃあ頑張ってみるかって思って姉に色々助言してもらいながら色々試してみて、っていうのがキッカケかな。で、その後「パンダヒーロー」とか「二息歩行」とかで作ろうとしたんだけど、あんまり形になんなくて。今考えればあんまり私たちの得意分野じゃない曲だったんだけど、なぜか勢いで作ってみたらできたのが「リンちゃんなう!」だったんですよ(笑)
――役割としてはイラスト担当がn@naさん、音源担当が鶯色さんなわけですが、どうやって今の動画制作のスタイルが築かれていったのでしょう?
鶯色:最初は、姉が動画経験者で私はほとんど動画初心者だったったんですよ。映像MADっていうのは一回だけ作ったことはあったんだけど、それ以外のことは何もしたことなくて本当に全部ずぶの初心者だったんです。
INTERVIEW
北海道まで大盛り姉妹へ取材に行ってきました
史上初!
大盛り姉妹 ロングインタビュー
大盛り姉妹は非常に稀有な表現者である。
大盛りシリーズの作者、といえばニコニコ動画の歌ってみたに詳しい人ならピンとくるだろう。
イラスト担当のn@na、音源担当の鶯色(うぐいすいろ)の二人組だ。
ニコニコ動画というフィールドにおいて、既に投稿された複数の音源を合わせ、それにふさわしいアバターを生み出し、動画にする。
二次創作あるいはn次創作の世界において、常に原作者への敬意を忘れず、創作者としての
情熱も損なわず、かつ多くの視聴者の心を魅了し続けている。
――このインタビューは、言わずもがな史上初の試みだ。
大盛り姉妹のこれまでの活動を振り返るとともに表現者としての姿勢や創作秘話、歌ってみたへの想いなどを、まっすぐな言葉で届けることができたら幸いだ。(告知サイトより抜粋)
――史上初、というわけでインタビューさせていただくわけなんですけど、まずは6周年を迎えてみて、今の率直な気持ちをお聞かせください。
鶯色:まず6年もやると思ってなかったよね。
n@na:6年、ちょっと長いね。『よくやってるな』って感じだよね。飽きずに。
鶯色:うん。なんだかんだ楽しいしね。
n@na:あと、『1人が飽きてももう1人がやりたがる』ってなるから。
大盛り姉妹 (姉)
n@na
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大盛り姉妹 (妹)
鶯色

6周年への想い
初投稿「リンちゃんなう!」誕生秘話
1人が飽きてももう1人がやりたがる
n@na:うん。
鶯色:『大丈夫だよ、こういう動画もあるよ!』ってプレゼンしてやっと姉に『そっか』って言われた感じだった。
n@na:動画投稿自体は、私は2009年くらいから既に手描きMAD作ってあげたりしてた。
鶯色:一緒に作ったこともあるよね。
n@na:うん。ちょうど歌ってみたにハマってた時期だったから。
鶯色:趣味が合致したって感じだよね。
――「リンちゃんなう!」を投稿してみての感想やその後の反響などはどうでしたか?
n@na:『わ~!みんな見てくれるかな~?』って感じで。
鶯色:1000再生、いや100再生いったらいいかなって思ってて。
n@na:で、『100いった!すごい、100人も見てくれたよ!』って。その後一晩経ってみたら『1000いってる!すごいよ!』ってなって、お昼ぐらいになったら『え!?1万いってるよ!どうしてどうして!?』って大騒ぎしてた(苦笑)
鶯色:そのぐらいの時にタイ焼き屋さんがツイッターで『こんなのあるんだけど』って紹介してくれて、それもあってどんどん再生数伸びちゃって。
n@na:のわー!
鶯色:もうびっくりしたよね。人生初だから。
――はじめての合唱シリーズ動画でのヒット。そこからはもうあれよあれよといった感じですか?
鶯色:うん……まあ味を占めたし。
――(笑)
n@na:伸びてることに気を良くして『合わせてみたとかやってみたい』って言って。次に「インビジブル」。
鶯色:どっちの人も好きだったから、じゃあ作ろうって。
n@na:そっからは、『あれもやりたいこれもやりたい』ってなったよね。
鶯色:ね。
動画制作のスタイル
音源提出したら、姉から『動画作ってくれるならいいよ』みたいな答えが返ってきて。
n@na:「バビロン」で(うぐいすが)燃え尽きちゃって、『あ、もう合唱いいや!満足した!もういい!』って感じになってた。
鶯色:うん。口には出してなかったけど、なんか満足感がすごかった。まあ再生数的にも「リンちゃんなう!」を超えるものはないだろうなって思ってたし。実際、今もそうだし。あとは定期的に何かを1から作るっていうのはほとんどしたことがなかったので、ひとつ気持ちが落ち着いたって感じ。
n@na:それで、その時に「アスミライ」の音源をもらって。
鶯色:『声抜きできないよー、もうこれでいい?』って感じで投げつけて(笑)
n@na:で、どうにか「アスミライ」を作って投稿して、『あ、まだ動画投稿楽しいかも』って思って、まだもうちょっとやろうかと。
『あ、もう合唱いいや!満足した!もういい!』って感じになってた。
――あの動画が気持ちをつなぎとめたわけですね。
n@na:うん。あれは本当に再生数も伸びてないし、私個人の趣味丸出しみたいな動画だけど……。
鶯色:ひとつのターニングポイントだったよね。
n@na:姉妹的には。
鶯色:ていうか動画だけじゃなく「投稿して、見てもらって、コメントがついて」っていうニコニコの一連の流れを見て、改めて『いや、楽しいな』って。ニコニコに投稿するのが楽しいって再確認した作品でもあるかな。
――コメントが流れてきて、一体感が生まれるっていうのはニコニコならではの動画の雰囲気ですよね。
鶯色:不特定多数の人間から褒められ続けるって、現実じゃあまずないからね。
n@na:ないね(笑)
――なるほど。では、現在の動画制作スタイルはどういったものになっているんでしょう?
n@na:動画はどっちもやってるけど、主にナユタン曲みたいに「狭い場所にぎゅうぎゅうモノを詰めなきゃいけない」系の動画が私のレイアウト。
鶯色:2Dの感じね。
n@na:で、「カメラ制御でワァーっと動く」感じのやつがこっち。
鶯色:はーい。私は3D的な、「罪の名前」みたいな世界が広い感じのほうがやりやすいかな。
n@na:私は平面的に並べるのが好きだから、立体的なのは妹って感じ。
鶯色:「マダラカルト」からカメラ制御を導入したんだけど、それも最初は姉から『こういうのあるけど苦手なんだよね』って教えてもらって、それで私が色々勉強して……っていうのが始まりかな。
――お互いに得意不得意の分野がハッキリしてる感じですね。
鶯色:うん。姉はフォントに精通してるけど私は全然わかんないから。
n@na:フォントは『これがいい!』って私が決めてる(笑)
鶯色:こだわりが強いから(笑)
n@na:フフフ(笑)
鶯色:で、アバターの表情を細かく動かすっていうのは私の分野。「えもふり」っていうソフトを「輝夜の城で踊りたい」で使ったんですけど、そこで色々ノウハウを学んで、『これなら、簡単なものならAviUtlでもできるんじゃないかな?』って思って「クイーンオブハート」でそれが実際にできたから(笑)
n@na:それ以降は「えもふり」は使わずにね。
鶯色:うん。できるからね。縦横比っていう値をいじれば。
私は2009年くらいから既に手描きMAD作ってあげたりしてた。
『ねぇこれどうしよう、あねちゃん!』
ニコニコ動画の思い出を語る
ライブが発表された時にタイ焼き屋さんが「こんなの大盛り合唱じゃん」って
――2017年7月に開催された「大盛りライブ」。このライブって大盛りシリーズの歴史の中でも非常にエポックメイキングな試みだったと思うんですが。
――お二人にとって、特別なライブというわけですね。
鶯色:うん、特別。
n@na:いちばん特別なライブだった。
鶯色:タイ焼き屋さんが「マダラカルト」歌ってくれたんだよぉ!
2人:(笑)
n@na:まさかそれを選曲してくると思わなかったから最前列で号泣したっていう(苦笑)
鶯色:そう、『この曲をライブで歌うのは最初で最後だと思うんですけど…』みたいなことを言いながら歌ってくれて、もう大号泣。周りの人からも『あの二人泣いてたよね』みたいな感じで言われ続けてね。『大盛り姉妹が泣いてる』って。
n@na:それだけ思い入れの強いライブだったんだよね。
鶯色:ねー。
――では動画で思い入れの強いものなどはありますか?
もう大号泣。
周りの人からも『あの二人泣いてたよね』みたいな感じで言われ続けてね。
鶯色:合唱シリーズっていうのを10年くらい見続けてきたんですけど、その中からひとつ選ぶとしたら、某ミリオンガッシャーさんの「ワールドイズマイン」の合唱。当時の死ぬほど有名な歌い手さんが登場するんですけど、それがもう私の中ではレジェンドオブレジェンドメンバー。それに加えて結構ネタ系の構成でアバターも縦横無尽に動き回る感じで、そういうネタ合唱っていうのを見たことがなかったので、自分のルーツのひとつにある動画ですね。
n@na:合唱でいえば、私は「千本桜」かな。いちばん再生数伸びてるやつ。それが合唱のイメージを刷り込まれた最初の動画だったね。あとはマチゲさんのハロウィンの曲。元々昔からハロウィンが好きでニコニコでそういう曲ないかなって探したら「ハロウィンモンスタァパーティナイト」っていう曲を見つけて、それが初ボカロですね。
鶯色:そこだったんだ。
n@na:そう、そこなの。それより前に「初音ミク」っていう音声合成ソフトがあるっていうのは知ってたんだけどね。そこからボカロにハマって歌い手にハマって転落していったわけなんだけど。
鶯色:わかるなー。私も友達に薦められるがままに「組曲」を見て、それがJさんの組曲で、そこから転落していったなぁ。
姉、n@naの得意分野
妹、鶯色の得意分野
――LINEスタンプ発売も驚きでした。
鶯色:歌い手スタンプってのは既に世の中にはあったんだけどね。
n@na:うーん。他人に自分の名前で売られるの、嫌なんじゃないかなって思ってたんだよね。
鶯色:許諾の問題もあるし、それに誰と誰のスタンプって組み合わせてやろうとすると、なにかしら理由がないと『なんでその組み合わせなの?』ってなっちゃうから、そこの動機も欲しかったし。
n@na:そこで『ライブの物販にする』っていう。
鶯色:別に物販として売るわけじゃないけど、それと連動させてライブ前後にも買えるものとしてね。
n@na:ま、スタンプって利益としてはそこまでないからね。
鶯色:うん。
n@na:でも出せてよかったよね。
鶯色:てか自分で使えるのもホント嬉しい。
n@na:そうそう。
鶯色:あとは締切ありつつ動画作るとかっていうのもなかなかやんないからね。どうしてもライブまでにあげなきゃいけないっていう曲(「すーぱーぬこになりたい」)をあげるってなって、姉が物販とかで大変な状況の中で、やっと『立ち絵が完成した』って言ったその瞬間から動画を作り始めて。
n@na:私は絵を投げた後はほとんど物販のほうをやってました(笑)
鶯色:逆に絵に関しては、私は口出しはできても作業の面では関与できないので、動画を担当しようって。ちょうど曲調とかも得意な感じだったので『私も頑張るからあねちゃんも頑張ろう』って励まし合って締切までに全部間に合わせた感じです。
喜びと相方
――動画投稿をしていて「やっていてよかったなぁ」と思う瞬間はどんな時ですか?
n@na:うーん……歌い手さん自身に喜んでもらえるのは嬉しいしファンの人から喜んでもらえるのも嬉しいけど、『いやーっ!投稿したね!』っていう達成感と自分のマイリストに好きな曲・好きな歌い手さんの声の動画が完成された形で積み上がって行くのが一番嬉しいかなぁ。
鶯色:なるほどねー。
n@na:(笑)
達成感と自分のマイリストに好きな曲・好きな歌い手さんの声の動画が完成された形で積み上がって行く
――私は大盛り合唱って本当に色んな要素が複雑に絡み合って――投稿者の情熱と技術と本家へのリスペクトが組み合わさって生まれた、革新的なエンターテイメント作品群だと捉えているんですけど、お二人はどうでしょう?
n@na:いやー私は本当に「大盛り」は"公園"だと思ってるから。
――公園、ですか?
終わりに——これからの話
――6周年からその先へ、これからのことで何か考えていることがあればお聞かせください。
n@na:うーん。6年になるし、1年に1回くらいはトーマさんの曲をあげたいかな。
鶯色:たぶん次でね、一応エンディング迎えるかなーって感じ。
n@na:意気込みだけはある。
鶯色:投稿がいつになるかはわかんないけど。
n@na:あがるといいね。
鶯色:ね。
n@na:来年は色々ドタバタしそうだけど、やっぱコンスタントに動画を投稿できれば一番いいなーって思ってる。
鶯色:やっぱり好きなものを煮詰めていって2人で頑張って投稿するっていうのが生きる原動力というか、血湧き肉躍る1番の瞬間だからね。他にも嬉しいことはあるんだけど、自分の作ったものを出せるっていうのが本当に嬉しい。格別。だからなにかしら忙しくなってもね、ずっとやりたいね。
n@na:まずは動画あげなきゃ……。
鶯色:結婚しても子どもができても何があってもやっていきたいね、っていう趣味だから。5年も6年もやってると、もう人生の何%「大盛り」なんだっていうね(笑)
n@na:うん。
鶯色:そんな感じっすね。
鶯色:いや、わかるわかる。私もそう。大体あねちゃんが言ってくれた通りなんだけど、一つは今まで雲の上だった歌い手さんたちが自分の動画に反応してくれたり喜んでくれたり、そうした時に今まで雲の上だった人にちょっとでも手が届いたって思えることが嬉しいです。
――その公園の管理人のお二人ですけど。
2人:(笑)
――まだ、その公園は未完成というか、どんどん新しい遊具ができていったり敷地が広がっていったりという感じですか?
n@na:完成しないんだよねぇ。広がってる。
鶯色:自分の中では常に100%の完成品を出し続けているんだけど、『まだ広がるよ!』っていうのをずっと言ってるから。「大盛り」は『トーマさん楽曲のあと1つくらいを投稿するまで終わらないよ』って言ってるんだけどね、それを投稿したとして全て満足するかって言ったら、『いや!まだやりたいことがいっぱいあるんだよ!』ってなるから(笑)
ていうか好きな歌い手さんが好きな曲で歌を歌ってるって時点で原動力だからね。『まだやり残したことある』って思っちゃう。
n@na:『まだまだ好きな歌ある』ってね。
鶯色:そうそう。まだまだやれることがある。
n@na:あるある。いっぱいある。
鶯色:ニコニコ動画っていう、二次創作がある程度還元される場で、作りたいものを作っていけたらいいね。
「大盛り合唱」とは
n@na:「バク●ン。」だよね~。ほぼ「バク●ン。」だね。
鶯色:1人で悶々と考えてても1人の脳みそで考えれることって限界があるから、1人で『ここまで考えれたからこれで最高だ』って思ってても、2人で考えると『ここはこうじゃない?』ってどっちかが言えば『だったらこれはこうだ』みたいな感じでどんどん高め合って限界突破できる。
n@na:衣装の話とかもそうだよね。
鶯色:そうそう。あとは動画作業もそうなんだけど、片方がワーって動画を作って『私としてはこれで完成でもいいんだけど、どう?』って聞くと、もう片方が『いや、これはこういう風にしたい』っていうのが出てきて、作業していくうちにいつの間にかもっと良くなる。そういうのが結構あって。
――いちばん身近に居る、いちばん最初の視聴者ということですよね。
鶯色:そうそう。それで相談もできるからね。『ここがどうしてもまとまらないんだけど…』って時にアイデアを出してくれるのも相方だし。
n@na:でも絵と音源に関しては、相談はするけど委ね切らないで意外と自分たちでどうにかしてるよね。
鶯色:うん。『これはこうじゃないの?』って言われてもどうしても譲れない部分もあるし。お互い、そういう部分はあんま譲ったことないんじゃない?
n@na:うん。あんまないね。
鶯色:ホントにそこまでこだわりがある部分だったらケンカに発展するね。
n@na:うん。そういうレベルだね。
鶯色:ただ、そういうケンカに発展しないレベルで、こだわりの薄い部分で『ここはこうだからこうなるよね』みたいな感じで作ったところは見抜かれるんだよね。
『あのー、ここ置きに行ったろ?』みたいな(笑)
――なるほど。
鶯色:色んな意味で2人居るからできるものっていうのもホントに多いよね。
n@na:脳みそも2つ必要だっていつも言ってるし。
鶯色:そうそう。デュアルコアってやつだよ。
――ある種、ダブルスタンダード的な。
n@na:そう。1人の脳みそからじゃひねり出せないことも、2人で話していたら出てきたりとか。
――「バク●ン。」さながらですね(笑)
n@na:うん。私たちは『こういう遊具を面白いかなー』って思って置いてみるんだけど、そのまま普通に遊んでくれる人も居れば、遊具には見向きもしないでその周りを走り回ってる人も居る。
鶯色:思わぬ遊び方をしてくるよね。
n@na:もしかしたら遊具の材質を見て『ここは安全面に気を遣っているのか』みたいなところに注目する人も居れば、ジャングルジムで洗濯物を干してる人も居る、みたいな。
鶯色:遊具の一部をノコギリとかで切って、それを砂場に刺して何か魔方陣的なものを作ってる人も居るから(苦笑)
――もしかしたら、『こんな公園作ってみたい』って思う人も現れるかもしれませんね。
n@na:景観を楽しむ人も居れば、昼寝している人も居る。
鶯色:色んな人が居る。
n@na:そんな感じでなんか楽しんでもらってる。
――危ないことさえしなければどんな風に楽しんでもいいという感じですかね。
鶯色:うん、うん。
n@na:それをね、見ててすごく思うんだよね。大盛り合唱のファンアート描いてくれてる人とか、大盛り関連で何か作ってる人とかも、『え?そんな風に見ててくれてるんだ』っていうのがある。
鶯色:自分が全力で、恥ずかしい部分とかも全部ひっくるめて『でもこれが好きなんだ!』っていうのを全面にアピールしてみたら思いもがけないレスポンスが返ってきたっていうのが多くて。だから自由にそういうレスポンスを返してくれるっていうのが嬉しいよね。
――なるほど。
鶯色:公園だから公園。砂場にいきなりすっげえ大きい砂の城とかできても楽しいじゃん(笑)そういうアクションとかもね、そういう風に反応してくれるのも全部含めて、「大盛り」のひとつだと思うから。
自分が全力で、恥ずかしい部分とかも全部ひっくるめて『でもこれが好きなんだ!』っていうのを全面にアピールしてみたら思いもがけないレスポンスが返ってきたっていうのが多くて。
2人で頑張って投稿するっていうのが生きる原動力というか、血湧き肉躍る1番の瞬間だからね。
n@na:たぶん「大盛り」って、「大盛り」にだけハマる趣味ではないと思う。
月に一回投稿されるかされないかみたいな動画じゃないっすか。不定期じゃないですか。だけど自分の好きなものが他にあって、それを楽しんでても、大盛り合唱が投稿された時に『あ、大盛りあがってる』って聞いてくれるみたいな。
鶯色:BGMとしてね。
n@na:そうそう。自分の人生のBGMのひとつとしてね、脇ぐらいに長々と置いてくれている人が多いので、それだけに夢中とかじゃなくても動画があがった時には見て聞いてくれる存在なので、本当に喜ばしい。実家に帰った時に、実家の近くにあるラーメン屋にたまに行くみたいな感覚で楽しんでくれたらいいね。もちろん夢中になってくれてる人はすごいありがたい存在ですし。
鶯色:大好き!!
n@na:大好き!なんだけど…そういう、『たまに聞くよ』みたいな楽しみ方をしてくれてる人も嬉しいし。
鶯色:うーん、どっちも好き。
――人それぞれですよね。
実家の近くにあるラーメン屋にたまに行くみたいな感覚で楽しんでくれたらいいね。
n@na:うん。人生の脇に置いてくれてるっていうのが、本当にありがたいなぁって感じです。『ありがとう』って。私はそんな感じです。
――では、鶯色さん。
鶯色:…………大盛りまだ続くからな! 覚悟してろよ!
――(笑)
鶯色:お前ら覚悟してろよ! まだ続くからな! ……以上です!
n@na:怖ッ!(笑)
1人で悶々と考えてても1人の脳みそで考えれることって限界があるから
ほぼ「バク●ン。」だね。
いかがでしたでしょうか。大盛りシリーズの製作者とは一体どんな人間なのか、垣間見る事ができたのではないでしょうか。彼女たちの今後の活動に目が離せません。大盛り姉妹のお二人共、インタビューにお応えいただきありがとうございました。(取材・文章:大井森太)
※記事や画像の無断転載はご遠慮ください
鶯色:うんうん。
n@na:(大盛りライブ共催の)詩人さんもそのステージに居たので、私たちの『こういうライブやりたいんですよね』っていうのもわかってくれて、一緒にライブをやってみたんです。
大盛りライブ開催までの道のり
――ありがとうございます。それでは最後に、これを読んでいる方々へメッセージをお願いします。
――(笑)
鶯色:『ねぇこれどうしよう、あねちゃん!』って泣きついて。
n@na:(笑)
――音源を聞いた時はどうでした?
n@na:いや、「リンちゃんなう!」の曲自体は好きだったから(笑)recogさんにハマってる時期だったし。『ああ、なるほどなるほどね』って。
鶯色:それで『もうちょっと整然とした感じになんない?』って助言してもらってブラッシュアップして、やっと音声完成って感じ。
n@na:動画は、『ホントに絵描いていいの?』って私がずっと言ってて。
鶯色:うん。
n@na:合唱って普通ピアプロとかから借りるものじゃない?『いいの?』って。
鶯色:でも私はアニメアバが主流だった時代から見てて、その頃から既に「歌い手描いてみた」ってものはあって。まあ私がタグ作ったんですけどね(微笑)タグ作って色んな動画につけて広めただけなんだけど、その頃からある文化だし合唱に使ってるのも10年前から見てたから、別にいいかなって。
n@na:歌詞入れくらいは最初から手伝ってもらってた。
鶯色:うん。元々、某動画の歌詞入れを毎日やってた(笑)
――コメ職人ですね(笑)
n@na:で、途中で『AviUtlっていういいソフトがあるんだ』って持ってきて。
鶯色:二作目からだよね。最初は違うソフトで作ってて。
n@na:うん。
鶯色:「バビロン」の時だったかな、初めて私主体で動画作ったの。音源提出したら、姉から『動画作ってくれるならいいよ』みたいな答えが返ってきて。それで『どうすればいいんだろう……』って言いながらやってたら、姉から『カードのアバターにするみたいなのもあるよ』って助言してもらったりして、最終調整の仕上げはお姉ちゃんにしてもらいながらやっと完成させたのが「バビロン」だった。
n@na:ただ、「バビロン」の後に一回危機を迎えたんです。
――そうだったんですか?
ひとつのターニングポイントだったよね。姉妹的には。
2人:フフフ(笑)
――ライブを開催しようと思ったキッカケはどんなものだったんでしょうか?
n@na:構想は私からなんですけど。
鶯色:そう。
n@na:ライブやる前の年の1月くらいに、層雲峡に家族で旅行に行った「天空露天風呂」っていうのに朝一人で入って、景色を見下ろしながら『ライブやりたいなぁ……』っていうのが最初(笑)
鶯色:その話初めて聞いた(笑)
――天空露天風呂(笑)
鶯色:二人でやりたいねって話はちょいちょいしてたんだよね。ライブってどういう風に発案してやっていけばいいのか細かいところはわからなかったんだけど、『好きなコンセプトで人を集めてライブやれたらいいよね』って姉と話してて、まだその時は妄想レベルだったんだけどね。まあ『やるとしたら誰に相談すればできるかな?』っていう話。
n@na:それでその年の6月に詩人さんとみゅさんがツーマンイベントをやるってことで、東京に遠征したんですけど。
鶯色:楽しかった!
n@na:そうだね。それでその前日に『良かったらご飯でもいきましょう』ってことで四人でご飯に行ったんですけど、その時に詩人さんが『それ面白そうですね。やりましょう』って言ってくださって、そこから企画が始まった感じですね。
鶯色:詩人さんというライブ主催活動されてる方から『一緒にやりましょう』って言ってもらって。
n@na:恩人、ですね。
鶯色:ね。本当にありがたい。
n@na:司会もやってくださって。
鶯色:詩人さんが居なかったら「大盛りライブ」って実現していないからね。他の形で『やりたい』ってなったとしても、「大盛りライブ」みたいな形にはならなかったと思う。
n@na:終演後に歌い手さんがステージの下に降りて来てくれないライブっていうのは、もちろんほとんどがそうなんですけど、詩人さんのライブってお客さんとの交流タイムみたいなのもあって。
鶯色:私たちもそういう交流タイムのあるライブを見に行って、「ランブライブ」の時もタイ焼き屋さんのところに『大盛りです!』って行ったら『おー、大盛りー』って言ってくれたっていうこともあったので、交流タイムっていうのは私たち自身嬉しかったですし。そういうことも汲んでくれたので、本当にありがたかったですね。
――『こういうライブを作りたい』というイメージはしっかりとあったわけですね。
n@na:そうですね。
――ライブのコンセプトが決まって本格的にライブに向けて動き出すことになって、色々と苦労されたことも多々あったと思うんですが。
鶯色:締切がね……(苦笑)
n@na:私は物販の絵を描くのに神経をすり減らしてました。スタンプを一緒にやるべきじゃなかったんです!
2人:(笑)
n@na:ハハハハ(笑)
鶯色:見抜くよね?
n@na:マジで?
鶯色:うん。見抜く見抜く。
――『これ、置きに行ったよね?』みたいな感じですか?
n@na:『あのー、ここ置きに行ったろ?』みたいな(笑)
鶯色:あるある。だから『ここはこうだろう』みたいなところも含めた80%で動画を出してきたとしたら、『残りの20%なんとかできたんじゃないか』っていう風にアイデアを出してくれるのが相方、姉だね。
n@na:(笑)
鶯色:そういうとこたまにあるよ。
n@na:本当?
鶯色:「クノイチでも恋がしたい」の動画は、姉が『こういう風になったよ』って出してくれたんだけど、それに対して私が『こういう風にしたらどう?』っていう思いを込めて編集したら姉が再度編集してくれた、みたいなキャッチボールはあるかな。
――姉妹という距離感も長く続けられる理由のように思えるのですが。
鶯色:あるね~。だって『私が今子守りしてるからその間にあねちゃんは絵描いて!』みたいなことたまにやるもんね。
n@na:私は実家に行って『音源つくろう!』って
鶯色:(笑)
n@na:『ドンドンドンドン!』って
鶯色:言われる言われる(笑)
――取り立てじゃないですか(笑)
2人:(笑)
鶯色:そうだよ(笑)
n@na:(笑)
鶯色:それに、家族だから家に居る時に『じゃあ寝るまでやるか』って感じがいつでもできたし。大盛り合唱を始めた頃はどっちも実家に居たから、隣の部屋の姉に『あねちゃーん』ってノーパソ持って赴いていって一緒に作業して、みたいなこともよくやってたしね。
n@na:そうだね。
――まさにアットホームですね。
鶯色:うん。でもなんだかんだいっても媒体変えつつ同じことやってるよね。作業スカイプしたり。
n@na:『どうにか家が離れてても作業できるやつないかな』って言ってクラウド導入してみたり、実家に行っても作業できるようにアイパッド買ってみたり。
ARTIST (敬称略)
詩人 @mentoku / 赤ティン @akatibitintin / みゅさん @musesingersk2
みよ @miyosann / くそ饅頭 @kusomanjuu_2525 / 侍マン @samuraiman1229
タイ焼き屋 @taiyaki_sit / 電池切れ @densabu0325 / かずにゃん @kzqawsedrf
京王新線「初台」駅、甲州街道北口より徒歩30秒
『私も頑張るからあねちゃんも頑張ろう』って励まし合って
姉
■
カ
メ
ラ
制
御
で
ワ
ァ
|
っ
と
動
く
感
じ
の
う
や
つ
が
こ
っ
ち
←
妹
■
私
は
3
D
的
な
姉
■
狭
い
場
所
に
ぎ
ゅ
う
ぎ
ゅ
う
モ
ノ
を
詰
め
な
き
ゃ
い
け
な
い
系
妹
■
2
D
の
感
じ
ね